2014/02/03

Nir Felder / Golden Age

Golden Age


OKEH Records (88883796292)
Rec. at Sear Sound, NYC, September 12&13 2011

Personnel:
Nir Felder (gt)
Aaron Parks (pf)
Matt Penman (bs)
Nate Smith (dr)

ストラト使い、バークリーでジミ・ヘンドリックス・アワードを受賞と"ポスト・アダム・ロジャース"も頷けるプロフィール。
かなり注目をあつめている彼の豪華なバックを迎えての初リーダー作です。
2014年作だけど録音は2011年なんですね。

僕のイメージとしてはインもアウトも無いんじゃないかと疑うような無機質な高速ソロをどわーっと弾くってイメージだったんですが今作で頭のなかはそんなことないんじゃないかって気がしてきました。というか大ファンになりました。
全曲オリジナルで固めたアルバムの60分で彼の世界感がはっきりあらわれていて素晴らしいです。

"Thank you very much"という第一声からはじまるこのアルバム、#1からじゃーんとコードを弾いて8ビートの上でサンプリングがとびかうところからすごく心地よいです。
つづく#2、アルペジオから8ビート、キメが入って流れていく音楽はさわやかにロックの「無敵感」が感じられて、すごく歌もの、というかもう僕としてはOasisの"Champagne Supernova"を初めて聴いた時のような切なくも多幸感あふれる"あの"感じがあふれています。
前に何かのインタビューでミュージシャンが「『バガボンド』で宮本武蔵が落ちてくる雪を木の枝でスパッと切っていくシーンのように、正解のコードを弾き続けることには爽快感がある」って話をしていたんだけど(たぶんRADWIMPS)たぶんこれは限りなくそれに近い。

この二曲で僕はもうこのアルバムが大好きになってしまったんだけど、じつはここまでギターソロ無し。というか全員ソロなし。
と思ったら#3でそこまでの空気を切り裂くようにイントロから無機質なギターが飛び出してきて急に世界が一変、とにかく弾きまくる!Aaron Parksの4倍くらいソロ弾いてます。弾きまくる中にもバック陣との対話がすごくつまっているのがすごい。
「あぁやっぱりこういうギタリストですよねー」とか思ってると#4がまた飛び交うサンプリングのSKIT。
弾きまくるスタイルの彼のギターがトゥーマッチになりかけたところにいい感じにこういうSKITが入ってるのがすごくいいです。(彼自身にもそういう自覚があるのか?)

このアルバムを通して感じたことはこの人はすごくギターに対して正直であるなってこと。やっぱり#7とか#9みたいにコード掻き鳴らしたい時あるもの。そしてギターはそれが一番に近いくらい気持ちいい。
こんなに思い切り良くジャラーンとコードを弾いたジャズ・ギターのアルバムって無かったんじゃないでしょうか。

そしてエンディング#10の後にも8ビートに乗せて気持ちよさそうにコードを弾く上にサンプリングを載せたSKIT。
繰り返される"Generation is coming up now"というボイスにつづいて繰り返されるサンプリング上の会話が未来を予言するような彼からのメッセージであり、そこから"Golden Age"について考えさせられるアルバムでした。

さらっと書いているけどこれ、メッセージ性といいスケール感といいアルバム通して聴いた後の爽やかな余韻といいジャズだけどすごくロックなアルバムでもあると思います。このバランス感はすごい。
僕はOasis『(What's the Story)Morning Glory?』を初めて聴いた時のような気持ちになりました。
ロックからジャズにはいったギタリスト勢としては最高のアルバムです。
僕のiPodにいれるとアーティスト順にしたときに「Nir Felder、Nirvana、Norah Jones、NUMBER GIRL、Oasis」って流れになるのもいいですね!

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