2014/02/04

"Post Rock" is now.

「ポスト・ロックからはじめる現代ジャズのすすめ」が今回のテーマです。

今回はいわゆるポスト・ロックっていうくくりの話なんだけど、
これを書こうと思ったきっかけは僕自身が高校時代にポスト・ロックにはまってそこからジャズに入った(他にも色々要素はあるんだけど)っていうのが一つと、「ポスト・ロック好きこそ今のジャズ聴けばいいのに!」って前々から思っていたからです。えぇほんとに。あとは友達におすすめのポスト・ロック教えてって言われたからだ。
僕はひっそりとギタリストなので今回は主にギター中心の、ほとんど日本の話になります。




まぁほとんど思い出話半分みたいな感じなのでまずは僕が一番最初にはまったTortoiseの話からしようかな。

TNT
Tortoise / TNT (Thrill Jockey 1998)

Tortoiseっていうのは"シカゴ音響派"のグループですね。
これは1998年作なんだけどとてもそうは思えないほど、今も色褪せない名盤です。
これってPro Toolsが導入され始めたころの作品で、とても実験的であったりエレクトロな要素をバンド・サウンドに加えることに成功しています。
ドラマーでプロデューサーのジョン・マッケンタイアは"シカゴ音響派"に置いてかなり重要人物なので覚えておきましょう。

彼らのサウンドはtoeに比べたらずっとポスト・プロダクションの部分を大事にしているところが大きいです。それもこれもPro Toolsなんですけど。

たぶんこのアルバムはもはや歴史的アルバムになっているんじゃないかな。
その後のポスト・ロックに多大な影響を与え、リスペクトされています。日本でもLITEが"Illuminate"(2010)でジョン・マッケンタイアをプロデューサーに迎えました。
Tortoise周辺のシカゴ音響派のグループとしてはIsotope 217Electric PresidentChicago Underground Duo (Quartet)Radical Face、the Sea and Cakeなどを僕はよく聴きました。

このアルバムと"シカゴ音響派"とジャズのつながりについては原雅明『音楽から解き放たれるために』(フィルムアート社 2009)にも詳しく載っているので読んでみると良いかもしれません。






これが僕の聴いたポスト・ロックの源流というかって感じですね。
ここからは「日本のポスト・ロックバンド+それに対応しそうなジャズ」です。

the book about my idle plot on a vague anxiety
toe / the book about my idle plot on a vague anxiety (Machupicchu 2005)

「シカ」でお馴染みのアルバムですね。
toeは日本のバンドでギター、ギター、ベース、ドラムっていう四人+たまにゲストっていうグループでこれまでにアルバムを5枚くらいだしてるバンドです。ドラムの柏倉隆は木村カエラのバックとかthe Hiatusでも活動してる人ですね。ライブにサポートで入るキーボードも木村カエラのバックの人だ。ギターの片方はクラムボンのサウンドプロデュースとかやっていたり。
このアルバムは1stフルアルバムにあたる作品。

基本的にインストでこのアルバムではアンサンブルの面白さと楽曲の美しさに重点が置かれている気がします。
2ndの"For Long Tomorrow"(2009)になるともっとループ感というかループしながら徐々に変わっていく、ってところに重点が置かれた感じになってます。2ndではクラムボンの原田郁子、dry river stringの干川弦、元Cymbalsの土岐麻子なんかがゲストボーカルで参加してます。

それじゃあ2ndアルバム収録の土岐麻子参加作「グッドバイ」のライブ映像を見てみましょう。
ジャズ側からはアルペジオの美しいJakob Bro、toeとおなじくアコースティックよりですがアツくグルーヴするJulian Lage、ミニマルっぽい新作をだしたLinda Ohのバンドをあげときます。










じゃあ次はピアノもので、


an anxious object
mouse on the keys / an anxious object (Machupicchu 2006)

これはtoe主催のレーベルMachupicchuからでている日本人バンド。
ピアノ、ピアノ、ドラムっていう構成です。
前回のブログで出てきましたね。
いわゆるテクニカルなピアノと高速のドラムがかっこ良いバンドです。
曲によってはホーンが加わったり。

このバンドはテーマ→ソロ→テーマっていう枠組みがある曲もあってわりとジャズに引っ掛けてもいいんじゃないかって感じがしています。

他にこういう感じで今出てきてる日本のバンドではJizueなんかもいますね。

ここでmouse on the keysと前回上げたMarialy Pachecoとを続けて聴いてみて欲しい。






ピアノ+ドラムなら当然今話題のMehliana(Brad Mehldau&Mark Guiliana)は外せないですね。

僕はさらにここに去年話題になったスイスのピアノ・トリオRUSCONIとかを並べておきたい。



ちょっとスケールが大きくなるけどTigran Hamasyanとかもいいと思うんだ。






あともう一つポスト・ロックの方向性としてあるのは轟音ギター・インスト派ですね。
ここではLITEをあげておきます。

Phantasia
LITE / Phantasia (Daizawa 2008)

このアルバムの"Ghost Dance"にやられたバンドマンがどれだけいたかって話ですよ。
ギター、ギター、ベース、ドラムと構成としてはtoeと一緒だけどこれはずっとロックな響き。ディレイとリバーブの効いたギターが高速でアルペジオを弾くスタイルです。
同じような感じとしてはmudy on the 昨晩OVUMとかがいますね。
あとは65DaysOfStaticとか。

僕がポスト・ロック好きこそジャズを聞いて欲しいって書いたのは主にこの方向のファンの人です。

LITEの"Ghost Dance"からOz NoyBen MonderKurt Rosenwinkel、Kendrick Scott OracleでのMike Morenoとジャズギタリストを4人続けてどうぞ。













とまあなんだか最終的には"聴いた感じ"が似てるっていう結論なんですけど、みんなが思ってるほどジャズっておっさんじゃないんですよ。これが一番言いたかった。
それと最近のジャズはブラック・ミュージックと結びつけて語られることばっかりなのでバンドマンにはあんまり届いていない気がしたってのもあります。

このブログがバンドマンに届くことを願って。

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