2014/12/01

Matthew Stevensが来る


カナダ・トロント出身のギタリストMatthew Stevens(Matt Stevens)がトリオで来年1月に来日決定したようです。メンバーはJamire Williams(ds)とBen Williams(b)という今まさに人気の二人。
しかし「Matthew Stevensって誰?」って方も結構多いんじゃないでしょうか。
実は彼、いわゆる『Jazz the New Chapter』周辺では近年の重要作に参加していて知らず知らずのうちに耳にしている人がほとんどだと思います。
今回はそんなギタリスト、Matthew Stevens特集。


Matthew Stevensは1982年、カナダ・トロント出身。
世代的にはAaron Parks(pf)、Gerald Clayton(pf)、Taylor Eigsti(pf)ら(いずれも1983年生)と近い世代で、ギタリストだとGilad Hekselman(1983)と近く、Mike Moreno(1978)よりも少し下の世代でいわゆる"Kurt Rosenwinkel以降"(カートは1970年生)を代表するギタリストの一人と言えます。
ジャズ以外だとFlying Lotusや宇多田ヒカル、Sum41のボーカルDeryck WhibleyやギタリストのDerek Trucksと近い世代ですね。
リーダー作は未だにありませんがConcordから出る予定があるそうです。

ではどこで耳にしているのか、年代順に追っていきます。

まず彼が一貫して参加しているのがトランペットのChristian Scottのバンド。Christian Scott自身も1983年生なので同世代です。
2006年『Rewind That』から参加した彼はここで今年アルバムをリリースしたWalter Smith IIIと共演。その後『Anthem』(2007)、『Yesterday you said tomorrow』(2010)、『Christian aTunde Adjuah』(2012)には全曲参加しており、Aaron Parks(pf)、Esperanza Spalding(b)、Marcus Gilmore(ds)、Jamire Williams(ds)、Corey King(tb)らと共演しています。

Christian Scottのバンドでの彼のサウンドは歪みも多用したアグレッシブなプレイが多く、インディー・ロック的なサウンドを担うポジションとして機能しています。





Rewind That Anthem イエスタデイ・ユー・セッド・トゥモロウChristian Atunde Adjuah


2010年にはピアニストJacky Terrassonのアルバム『Push』にゲストとして参加。
ここでのリズム隊が今回の来日メンバーであるBen Williams(b)とJamire Williams(ds)となっています。
Push


そして2011年には現在Pat Methenyのバックも務めるベーシストBen Williamsの『State of Art』に参加。
ここでのプレイは至って現代ジャズ的で、Pat Metheny~Kurt Rosenwinkel的なソロを聴かせてくれます。



State of Art


2012年にはドラマーJamire WilliamsのリーダーバンドERIMAJのメンバーとしてデビュー作『Conflict of a Man』に参加。
ここでもインディー・ロック的な歪みやエフェクトを使ってピアニストのいないこのバンドに色を付ける役割を果たしています。


CONFLICT OF A MAN


そして去年2013年には若手ジャズマンによるポップスカバーのプロジェクト、NEXT COLLECTIVE『Cover Art』に参加。なんとここでのリズム隊もBen WilliamsとJamire Williamsです。さらに此の年にはソウルフルな歌声で今引っ張りだこのボーカルChris Turnerのアルバム『LOVElife is a Challenge』にも参加しています。


Cover ArtLOVELIFE IS A CHALLENGE


そして今年2014年にはHerbie HancockのHead Huntersにも参加していた大御所ドラマーHarvey Masonのアルバム『Chameleon』に参加。


Chameleon


そして最近来日して話題になったWalter Smith IIIの新譜『Still Casual』にも参加しています。ここでは正統派な現代ジャズギター的なプレイ。


Still Casual


ここまでMatthew Stevensを追ってきて僕が感じる魅力はバンドによって大きくサウンドやプレイを変化していくところ、これにつきます。
ハードに歪むこともエフェクティブなプレイも得意な彼がBen Williams、Jamire Williamsという気心の知れたメンバーとのトリオで来るのはかなりお得感があるのでツアーの詳細を心待ちに!

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